旧札から新札へ刷新!タンス預金は銀行に預けたほうがいい?
2024年7月3日から1万円札、5千円札、1千円札のデザインが刷新されました。刷新に伴い、今まで使い慣れたお札は旧札の扱いとなりますが、ところで旧札は、今後も問題なく使い続けられるのでしょうか?また、旧札でタンス預金したままでも問題ないのでしょうか?
新札発行後も旧札は使用可能
結論からいうと、新札の発行後も、引き続き問題なく旧札は使えます。店頭で使うことはもちろん、少なくとも当面の間は、自動販売機などの無人レジでも問題なく使い続けられるでしょう。新札が誕生したという理由で、あわてて旧札を新札へ両替する必要はありません。
聖徳太子の1万円札も使える
過去、日本で発行されたお札は全部で53種類ありますが、それらのうち31種類は、法令に基づいて使用できなくなりました。逆に言えば、残り22種類のお札は、令和の現代でも通常のお札として使用することが可能です。
たとえば団塊ジュニア世代(昭和46~49年生まれの世代)が子供の頃、1万円札には聖徳太子が描かれていました。当時の聖徳太子の1万円札は、福沢諭吉や渋沢栄一の1万円札と同様に、1万円の価値を持つ紙幣として今でも使うことができます。
2000円札も使える
ついでながら、今ではすっかり目にしなくなった2千円札も、もちろん普通に使えます。ただし、聖徳太子の1万円札と同じく、自動販売機などの無人レジなどでは使えない可能性が高いため、現実的には店頭の有人レジで使うことになるでしょう。
なお、沖縄県では、令和6年の現在でも2千円札が一般的な紙幣の1つとして流通しています。
旧札のタンス預金自体は問題ないが注意点もある
将来的に旧札が使えなくなる日が訪れるかもしれませんが、少なくともすぐに使えなくなるわけではありません。そのため、当面は新札と同じ紙幣価値が維持される以上、もちろんタンス預金をしていても、特に問題はないでしょう。
ただし、新札か旧札かにかかわらず、タンス預金にはいくつかの注意点があることも事実。以下、タンス預金の「いいところ」と「注意したいところ」に分けて、それぞれ具体的に見ていきましょう。
タンス預金の「いいところ」
使いたいときにすぐ使える
銀行ではなく自宅で現金を保管しているため、使いたいときにATMや銀行窓口へ走る必要がありません。お金をおろし忘れていたとき、急に新聞屋さんやガス屋さんが集金に来たとしても、タンス預金を使ってその場で決済できます。銀行の窓口が閉まっているお正月に親戚の子供が来訪しても、タンスの中からすぐにお年玉を用意できます。
ペイオフの不安がない
いわゆるペイオフの不安がない点も、タンス預金のいいところです。ペイオフとは、もし銀行が倒産した場合に、一人当たり1000万円までしか元本が保証されない制度のこと。「絶対に一律1000万円しか戻らない」という制度ではなく、銀行の破綻状況によっては1000万円を超える分が戻らないこともある、という制度です。
タンス預金であれば、銀行の倒産の影響を受けません。仮に、お付き合いしている銀行が倒産してペイオフが発動されたとしても、タンスの中にあるお金まで消えてなくなることはありません。
タンス預金の「注意したいところ」
災害・盗難などでお金がなくなるリスクがある
災害や盗難に対する備えとして火災保険や地震保険がありますが、火災保険も地震保険も現金は補償の対象外となります。そのため、もし家が火事になってタンスと一緒に現金が燃えたとしても、旅行中に泥棒が入ってタンス預金を持っていかれたとしても、保険金をもらうことができません。
昨今、日本では地震や台風、豪雨などの自然災害が多発しています。タンス預金をするならば、盗難対策とあわせて自然災害対策も講じておく必要があるでしょう。
相続トラブルが起こることもある
多くの場合、タンス預金の有無や金額は、タンス預金を行っている本人しか知りません。そのため、もし本人が死亡して相続が発生した場合、相続人はタンス預金に関する正確な情報を知らないため、相続トラブルに発展することもあります。
たとえば本人の死亡後、相続人の1人が偶然タンス預金を発見した場合、他の相続人に隠れて全額を独り占めするかもしれません。この行為が相続人の間にバレてしまえば、ほぼ確実に相続トラブルに発展するでしょう。そのほかにも、タンス預金をめぐる相続トラブルは様々な形で見られます。
インフレで現金の実質的な価値が下がる
可能性の視点から見ても高いリスクとなりうるのが、インフレによって現金の実質的な価値が下がるということ。
このまま何年もインフレ傾向が続いた場合、タンス預金の実質的な価値はどのように変化するでしょうか?たとえば、去年から今年の1年間で、インフレにより2%の物価上昇が生じたとします。この場合、去年は10,000円で買えたものに対し、今年は10,200円を支払わなければ買えません。仮に2%のインフレが10年間続いた場合、物価上昇率は20%以上。10,000円のものが12,000円まで値上がりする形になりますが、この間、タンス預金の10,000円は10,000円のまま。世の中の物価が20%以上も値上がりしている以上、実質的にタンス預金は20%以上も値下がり(目減り)したこととなります。
タンス預金の価値の目減りについて下記ページでも詳しくまとめています。気になる方はご参考ください。
タンス預金中の旧札を新札に交換したら税務調査が入る?
新札の発行をきっかけに、自宅で保管中のタンス預金をまとめて自分の銀行口座に預けよう、と考える方もいるでしょう。
もちろん、自分でせっせと働いて貯めたタンス預金を銀行口座へ移管することは、何ら問題ではありません。しかしながら、お札に「自分で貯めた」という印が付いていない以上、一度に銀行へ大金を預けた場合、銀行からの通報で税務署から目を付けられ、やや面倒な事態に発展しかねないので注意が必要です。
相続税・贈与税の未納を疑われる可能性あり
銀行へ一度に大金を入金すると、税務署から「この大金、まさか相続・贈与を受けたものではありませんよね?」という調査が入ることがあります。
相続・贈与を受けた場合、その金額(不動産の評価額等も含む)が一定以上になると、相続税や贈与税を納付しなければなりません。一度に銀行へ大金を預ければ、税務署から「他の相続分とあわせて課税の対象になるのでは?」と疑われる可能性があります。もちろん、自分で貯めたタンス預金を銀行へ預けることに問題はありませんが、税務署から疑われた場合、そのタンス預金が自分で貯めたお金であることの証明を求められるかもしれません。その対応は、なかなか厄介です。
仮に、本当に相続・贈与されたタンス預金ならば、正しく計算を行って確定申告を行い、相続税・贈与税を収めた上で残りのタンス預金を銀行に預けるようにしましょう。
なお、相続税の計算は人により異なりますが、贈与税については、年間で110万円以上の贈与を受けた人に課税されるルールがあります。参考までに覚えておきましょう。
疑わしい預金は銀行から税務署に通報される
自分でコツコツと貯めたクリーンなタンス預金だったとしても、銀行から「何か怪しい」と疑われれば、税務署に通報される恐れがあるのでご注意ください。
銀行は、「犯罪による収益の移転防止に関する法律」に基づき、怪しいと疑われる取引について、行政庁へ届出を行わなければならない決まりがあります。いわゆる「マネーロンダリング」を防止することが目的です。
マネーロンダリングとは、犯罪等により得た資金を銀行等に預けることで、そのお金が帯びている犯罪性をうやむやにする行為のこと。汚いお金が綺麗なお金に変わるという意味で、資金洗浄という言葉が使われることもあります。
本来、相続税や贈与税が発生するはずのお金を、相続人・贈与人本人の口座に入れてしまう行為も、マネーロンダリングの一種と考えて良いかもしれません。
銀行から行政庁へ通報が入る基準の一つが、そのお金の金額。一度に大金を預けた場合、銀行から無用な疑いをかけられ、結果税務署に通報される恐れがあるので注意しましょう。
クリーンな大金を銀行に預ける際には、本人確認書類を持参するなどして自己防衛を図ることも大切です。
タンス預金の相続に関しては下記ページで詳しく紹介していますので、ぜひご参考ください。
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合同会社PPS
「海外銀行口座開設」のプロフェッショナル
- 合同会社PPS
- 吉岩勇紀代表
2007年創業、これまで2,500人以上の海外銀行の口座開設をサポート。独自の人脈と豊富な知識で海外銀行とのコネクションを築く。現在はプライベートバンク(モナコ)・アクレダ銀行(カンボジア)・JDB銀行(ラオス)をはじめ、計8銀行の口座開設をサポートしている。