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自己破産するときの海外口座資産の取り扱いについて

海外口座にも資産を持つ人が日本国内で借金をし、その返済が困難となった場合、自己破産はできるのでしょうか?そもそも、日本の法令のもとで自己破産をするにおよび、海外口座にある資産は考慮されるのでしょうか?

当ページでは、自己破産する際の海外口座資産の取り扱い、および海外口座に資産のある人が自己破産する際の注意点などについて解説しています。

自己破産では海外口座にある資産も対象とされる

自己破産する本人の資産である限り、その資産が国内外のどこにあろうとも自己破産の対象となります。以下、自己破産と海外口座資産に関する原則論を確認しましょう。

海外にある資産も自己破産を判断する基準に含まれる

日本の破産法においては、日本人が日本国内での借金を理由に自己破産を申し立てた場合、裁判所は、その人が持つ全ての資産を対象に自己破産の可否を決定します。「全ての資産」なので、国内にある資産だけではなく海外にある資産も対象です。

そのため、たとえ日本国内での借金と資産を相殺して借金のほうが多かったとしても、海外の資産を加えて借金返済が可能となるならば、自己破産は認められません。あるいは、仮に海外の資産を加えても借金返済が困難で自己破産が認められた場合、海外にある資産も売却のうえ債権者へ分配する必要があります。

以上のことから、もし海外口座に資産を持つ方が日本国内で自己破産を申し立てる場合には、海外にある全ての資産も含める形で申告しなければなりません。

仮に海外に資産があることを隠して自己破産手続きを完了させた場合、刑事罰を科されることになります

日本在住の外国籍の人も自己破産の取り扱いは同じ

日本在住の外国籍の人が日本の裁判所へ自己破産を申し立てた場合でも、日本人と同様の取り扱いとなります。

そのため、日本にある資産だけでは借金が困難だったとしても、もし母国にある資産(銀行預金や不動産など)を加えれば借金返済が可能となるならば、自己破産は認められません。

母国に資産があるにも関わらず、これを隠して自己破産手続きを完了させた場合には、刑事罰に科されることとなります。

海外にある資産を処分する方法

自己破産をする場合には、日本にある資産も海外にある資産も共に現金化し、債権者へ分配しなければなりません。一般的に債権者は日本円での分配を求める形となるので、海外に資産を持っている場合には、現地で売却したのちに日本円へ替えて返済へ充てることになるでしょう。ただし、自己破産手続きにおける資産の処分は破産管財人が代理で行うことになるため、自己破産する本人が一連の処分手続きを行う必要はありません。

なお、海外にある資産の情報を裁判所へ提出する際、翻訳などの必要から処分関連費用が高くなることもあります。仮に海外資産の評価額よりも処分費用のほうが高くなる場合には、海外資産の処分が行われないこともあります。

海外口座などに資産のある人が自己破産をするときに注意すべきこと

海外口座に資産のある人が日本国内で自己破産する場合、くれぐれも以下でご紹介する点にご注意ください。

海外口座などにある資産を隠すことはできない

「海外口座にある資産や海外に持っている不動産なら、裁判所にバレないのでは?」と安易に考えないようにしましょう。以下のような経歴・履歴等を理由とし、裁判所にはほぼ確実にバレます。

  • 預金通帳などにレート換算した形跡がある
  • 海外での勤務経験がある
  • 海外に住んでいたことがある
  • 外国語での取引履歴が多い
  • 海外への航空券の購入履歴が多い
  • 配偶者が外国人
  • 自己破産を申し立てた本人が外国人

以上のような経歴・履歴がある場合、裁判所は徹底して海外資産の有無を調べます。調べた結果、海外資産を隠していることがバレた場合には、刑事罰に科される可能性があります。

自己破産の手続きをする前に資産を海外へ移さないこと

「何とかして財産を隠してから自己破産手続きをしたい」と考えている人の中には、自己破産手続きを行う前に海外口座などへ資産を移そうとする人もいるようです。

しかしながら、先に説明した通り、海外へ資産を移しても高い確率で裁判所にバレます。もしバレた場合、自己破産前の資産隠しを理由に、「免責不可事由(※)」に該当するとして自己破産が認められない可能性もあることを理解しておきましょう。

自己破産手続きをする前は、資産を海外に移すことはもちろんのこと、国内であっても裁判所に誤解されないよう「触らない」よう強くおすすめします。

※免責不可事由とは…借金返済の免除を認めない要件のこと(破産法第252条1項1号)。

海外資産の資料の翻訳に費用と時間がかかる

日本の裁判所で行う一切の業務は、日本語で行うことと定められています。「何を当たり前のことを?」と思うかもしれませんが、これは裁判所法74条に定められた厳格な規定です。

この規定がある以上、海外にある資産に関する資料(契約書・明細書など)を裁判所へ伝える場合には、全資料を正確な日本語に翻訳しなければなりません。この翻訳に際し、相応の費用と時間がかかることを理解しておきましょう。裁判所へ提出する資料である以上、自分で翻訳するのではなく、専門家に依頼して有料で翻訳してもらうべきです。

資産隠しがバレると刑事罰が科されることもある

裁判所による破産手続きの開始が決定した後、海外等にある隠し資産が発覚した場合、詐欺破産罪という罪に問われる可能性があります。

詐欺破産罪が適用されると、本人への刑事罰として「10年以下の懲役または1000万円以下の罰金、または懲役と罰金の両方」が科されます。実刑判決となれば、速やかに刑務所へ収監。仮に執行猶予が付いたとしても、前科は一生涯残り続けます。

刑事罰が科されることに加え、当初は裁判所が認めた破産開始手続きが取り消しとなるため、借金の免責も取り消しに。あらためて全ての借金が復活する形となります。

なお、過去には実際に自己破産した人から数億円の資産隠しが発覚し、懲役3年・執行猶予5年という判決が下された例もありました。

資産隠しの協力者も共犯として刑事罰に科される可能性がある

自己破産に伴う資産隠しと知っていながら本人の行為に協力した者、または、債権者を害する目的で本人の資産隠しに協力した者は、資産隠しを行った本人の共犯者として刑事罰を科される可能性があります。

破産法では、資産隠しの共犯者も本人と同じ「破産詐欺罪」に問われるため、共犯という理由のみで減刑されることはありません。

なお、自己破産に伴う資産隠しとは知らずに、結果として本人の資産隠しに協力する形となっていただけの場合には、その協力者に対して詐欺破産罪は適用されません。

海外における過去の契約状況も全て明確にしてから自己破産の申し立てを

自己破産の申立てに先立って資産を海外へ隠す行為は論外ですが、もともと海外口座などに資産がある方も、自己破産を申し立てる際には忘れずに裁判所へ海外資産の状況を伝える必要があります。過去に行った海外での契約状況などを改めて確認し、すべての資産を明確にした上で自己破産を申し立てるようにしてください。

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下記ページでは「日本にいながら海外銀行口座を開設する方法」や「海外口座開設サポート会社」について詳しく解説をしています。海外口座を正しく利用・運用していきたい方はぜひご参考ください。

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合同会社PPS吉岩勇紀代表
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吉岩勇紀代表

2007年創業、これまで2,500人以上の海外銀行の口座開設をサポート。独自の人脈と豊富な知識で海外銀行とのコネクションを築く。現在はプライベートバンク(モナコ)・アクレダ銀行(カンボジア)・JDB銀行(ラオス)をはじめ、計8銀行の口座開設をサポートしている。

※2023年4月20日調査時点