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日本におけるプライベートバンクとは

こちらの記事では、日本におけるプライベートバンクについて解説していきます。プライベートバンクとはどのようなサービスなのか、また日本国内でプライベートバンキングサービスを提供している会社にはどのようなところがあるのか、という点や日系プライベートバンクのメリット、デメリットなどさまざまなポイントについてまとめました。

プライベートバンクとは?

「プライベートバンク」とは、スイス発祥の銀行形態であり、一定以上の資産を保有する富裕層に向けたサービスです。資産の管理や資産運用といったサービスを提供する銀行をプライベートバンクと呼んでいます。このプライベートバンクの市場規模としては、ヨーロッパやアメリカが大きな部分を占めているものの、近年では日本でも注目されているサービスといえます。

プライベートバンクの場合、通常は取り扱っていない比較的利回りの高い商品の取り扱いもあることから、顧客の選択肢が広がる、また専属のプライベートバンカーが長期的に担当するといったように、一般的な金融機関のサービスとはさまざまな面で異なります。

プライベートバンクが提供するサービスとは?

プライベートバンクでは、多岐にわたるサービスを提供しており、より個人のニーズに合った資産運用や管理のサポートを包括的に受けられる点が特徴となっています。また、プライベートバンクを利用する顧客はオーナー経営者一族であるケースも多く見られ、その場合には個人と法人の2つの領域を考慮しながら、資産の運用や管理を行っていくことになります。

このように、個人の資産運用に関するサービスを提供することはもちろんですが、法人領域のサポートや非金融サービス(留学支援や高級医療・介護施設の紹介など)を通じて顧客が持つ幅広いニーズに応えられる点が、プライベートバンクの大きな強みといえます。

日本国内でプライベートバンキングサービスを提供している会社

日本国内でプライベートバンキングのサービスを提供している会社としては、「証券会社系」「銀行系」「外資系」に分けられます。具体的には、下記のような会社によりサービスが提供されていますのでチェックしてみてください。

  • 証券会社系プライベートバンク
    野村證券/大和証券/SMBC日興証券/みずほ証券/三菱UFJモルガン・スタンレー証券/香川証券 など
  • 銀行系プライベートバンク
    三菱UFJ銀行/三井住友銀行/みずほ銀行/三井住友信託銀行/りそな銀行/千葉銀行/静岡銀行 など
  • 外資系プライベートバンク
    UBS(スイス)/クレディスイス(スイス)/ジュリアス・ベア(スイス)/ロンバー・オディエ(スイス)

ちなみに、プライベートバンク専業の金融機関は日本にはほぼ存在しておらず、メガバンクや大手証券会社では、富裕層専用支店(部署)のような形でサービスの提供が行われています。またメガバンクグループにおいては、グループ内にある銀行と証券会社が連携する形でサービス提供を行っているところもあります。

千葉銀行や静岡銀行、香川証券など地方の金融機関でプライベートバンクサービスを提供しているケースの多くは、実際の資産運用に関してはスイスのロンバー・オディエと提携し、信託契約代理店として顧客を紹介する形をとっています。

上記を見ると分かるとおり、日系プライベートバンクは証券系と銀行系のみとなっています。そのため、日系プライベートバンクが提供するサービスの傾向としては、有価証券投資による比較的積極的な資産運用を目指す証券色と、預金・融資を軸として安定した運用を目指す銀行色が見られるという点が挙げられるでしょう。

下記ページでは「プライベートバンクの国内と海外の違い」や「プライベートバンクの選び方」などについて紹介しています。

プライベートバンクについてより詳しく知りたい方は、下記ページもご参考ください。

プライベートバンクの違いや選び方
について詳しく見る

日系プライベートバンクのメリット、デメリット

ここでは、日系プライベートバンクにおけるメリットとデメリットをまとめていきます。

メリット

日本語対応が可能

日系プライベートバンクの大きなメリットとしては、まず日本語対応が可能である、という点が挙げられます。また、プライベートバンクを利用する富裕層のニーズの中には、相続税対策を含む節税といったものも大きいため、日本の法制度や税制度、商習慣などを熟知している点も、メリットのひとつとしていえるでしょう。

万が一合法・非合法の線引きを読み間違ってしまった場合、追徴課税や脱税で刑事罰を課される可能性もゼロではありません。この面から考えると、外資系のプライベートバンクと比較した場合、日系の金融機関であればこのようなリスクも低減できます。

撤退や破綻のリスクが低い

外資系プライベートバンクの場合には、顧客が十分に獲得できない・収益性が低いといった場合には撤退してしまうこともあります。しかし、大手日系金融機関の場合には、撤退や破綻してしまうリスクは低いと考えられます。

ただし、地方の金融機関の場合は経営がうまくいかなくなれば富裕層ビジネスから撤退する可能性がないわけではありません。その点、大手の証券会社やメガバンクが提供しているプライベートバンクであれば、安定的・継続的に日本国内でサービスを受けられる可能性が高いといえるでしょう。

デメリット

日系の金融機関の場合、国際的な金融ネットワークが米系・英系・スイス系の金融機関と比較すると弱いという点がデメリットとして挙げられます。このことから、例えばタックスヘイブンを活用した節税スキームや、海外のオルタナティブ資産投資などの選択肢が狭まってしまう可能性もあります。

ただし、オルタナティブ投資を紹介するような対象となったり、タックスヘイブンを利用した節税スキームが有効であるケースは、資産が数十億円以上の規模の場合となるため、資産規模が数億円の一般的な富裕層の場合には、国内に拠点をおく金融機関との取引を選択する方が無難といえます。

日本のプライベートバンクの特徴

続いて、日本のプライベートバンクの特徴についてご紹介します。

最低預入資産1億円以上が目安

日本におけるプライベートバンクの場合にも、開設するには非常に厳しい条件があります。条件としては、「最低1億円以上の預入資産」「顧客からの紹介」などがあり、さらに信用情報や資産状況についても検証が行われるといったように、口座開設にあたっては慎重に審査が行われます。ただし、国内のプライベートバンクの中には、資産額3,000万〜5,000万円ほどから利用ができる、比較的ハードルの低いプライベートバンクサービスもあります。

ちなみに、スイスの老舗プライベートバンクの場合は預入資産がおよそ10億円以上といわれており、日本のプライベートバンクよりも圧倒的に大きな資産額が必要となります。

日本にもファミリーオフィスがある

「ファミリーオフィス」とは、プライベートの上級版と考えると良いでしょう。こちらのサービスを利用するためには、一般的に1億ドル以上資産が必要といわれています。日本にもファミリーオフィスが存在しますが、これは一族限定の資産管理会社となっており、その一族の資産を管理し、承継していくために必要となるサービスの提供が行われています。

日本では無限責任ではなく有限責任となる

上記でもご紹介していますが、プライベートバンクの発祥はスイスであり、もともとは無限責任を有する個人(プライベートバンカー)により運営されている銀行を意味していました。この無限責任とは、万が一顧客の資産を毀損した場合には、プライベートバンカーも一緒になり責任を取るということを指しています。

この無限責任は日本では存在せず、有限責任となっています。もし日本で銀行が破綻した場合には、戻ってくるお金は限定的(ペイオフは1,000万円)となっており、これ以上の補償はありません。

プライベートバンクサービスは自分に合ったところを選択する

ここまでご紹介してきたとおり、プライベートバンクは富裕層向けのサービスとなっており、一定以上の資産額やその他の審査条件をクリアしなければならないという特徴があります。ただ、利用するハードルが高い分、一般的な金融機関とは異なるサービスを受けられます。

また、プライベートバンクは日系と外資系があります。こちらのページでは日系プライベートバンクについて詳しくご紹介してきましたので、実際に開設を考える際にはそれぞれのメリットとデメリットについて十分に比較した上で、自分に合っているところを選ぶと良いでしょう。

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「海外銀行口座開設」のプロフェッショナル

合同会社PPS吉岩勇紀代表
合同会社PPS
吉岩勇紀代表

2007年創業、これまで2,500人以上の海外銀行の口座開設をサポート。独自の人脈と豊富な知識で海外銀行とのコネクションを築く。現在はプライベートバンク(モナコ)・アクレダ銀行(カンボジア)・JDB銀行(ラオス)をはじめ、計8銀行の口座開設をサポートしている。

※2023年4月20日調査時点