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タックスヘイブン対策税制とは

ここでは、海外銀行へ口座を開設する際に気を付けておくべきタックスヘイブン対策税制の概要や判定基準についてわかりやすくご紹介していきます。

これから海外銀行の口座開設を行う方は、ぜひ参考にしてみてください。

タックスヘイブンとは

タックスヘイブン(租税回避地)とは、課税率の低いもしくは課税を免除される国や地域のことです。

特に無税=税負担が免除される国や地域は、タックスパラダイスと呼ばれているのも特徴です。また、地域によっては、特定の業種のみ税制優遇を実施しているケースもあり、その条件には細かな違いがあります。

タックスヘイブンに該当する国や地域は他国より税制面で優遇されているため、企業や富裕層などが課税負担軽減を目的として資産を預けています。つまり、タックスヘイブンに資産を預ければ、国内に資産を預けている場合と比較して課税負担を軽減できます。

ただし、タックスヘイブンを悪用した犯罪行為が見つかっているため、該当地域への口座開設や資産の移動などに規制を設ける国も出ています

タックスヘイブン対策税制が導入された背景

タックスヘイブン対策税制(正式名称:外国子会社合算税制)は、タックスヘイブンに該当する国で子会社の利益が発生している場合、国内の親会社に対して課税義務が発生する制度を指しています。

対象者がタックスヘイブンに子会社などを設立し、外国企業との取引に子会社を活用すると、課税所得を減らせてしまいます。

そこで1978年に成立した同制度は、活動実績のない子会社=ペーパーカンパニーを活用した課税負担軽減・免除といった動きを抑制させるために作られました。いわゆる課税逃れを防止するための制度で、日本の居住者(住んでいる)や内国法人(国内に本店などがある法人)が対象とされています。

なお、タックスヘイブン対策税制の適用対象とされる要件については、複数存在します。

次の項目から適用対象について解説していきます。

適用対象となる内国法人の判定

租税特別措置法66条の6第2項第1号柱書によると「直接および間接に保有する外国法人の株式等の数または出資の合計額の割合が10%以上であるもの」に該当する内国法人は、タックスヘイブン対策税制の適用対象としてみなされます。

具体的には、外国法人の発行済み株式などを直接もしくは間接的に10%以上保有している内国法人や外国法人の出資合計額10%以上を直接もしくは間接的に保有している内国法人が対象です。

また、上記のケースに該当していてなおかつ実質支配関係のある内国法人や同族株主グループなどもタックスヘイブン対策税制の適用対象なので、株式の保有状況について注意する必要があります。

(同族株主グループ:親族関係などにある個人もしくは親子会社などといった支配関係にある法人)

(実質支配関係:他の法人へ事業方針などを決定できる立場にある者 )

外国関係会社の判定

タックスヘイブン対策税制に定められている外国関係会社(外国子会社等)とは、外国法人の中でも内国法人が直接もしくは間接的に50%を超える株式などを保有したり出資合計額が50%を超えていたりしている法人のことです。

また、上記のケースに該当する外国法人がペーパーカンパニーとしてみなされると、内国法人の所得に外国法人の利益などが含まれます

ちなみに外国関係会社の中で議決権もしくは配当といった項目に関して、異なる種類の株式などを発行している会社は、別の方法で株式の割合などが計算されます。必ずしも50%という要件ではないので注意しましょう。

特定外国子会社等の判定

特定外国子会社等は、前述で触れた外国関係会社の中で指定の要件を満たす会社を指しています。

1つは、法人の所得に対して課される税が存在しない国もしくは地域に本店もしくは主たる事務所を所有している外国関係会社という内容です。つまり、タックスヘイブンに該当する国や地域に本社や主たる事業所のある外国関係会社は、特定外国子会社等へ区分されます

もう1つは、その事業年度の所得に対して課される租税の金額が、当該所得の20%未満である外国関係会社なら、特定外国子会社として定められます。

簡単に説明すると事業年度の所得に対する税率が20%未満の外国関係会社は、特定外国子会社として区分されます。

つまり、税率が低い、または0の国や地域に外国関係会社を置いていると、タックスヘイブン対策税制の要件を満たしているため、内国法人に対して所得税が上乗せされる可能性もあります。

タックスヘイブン対策税制の適用除外要件

タックスヘイブン対策税制には、適用除外要件という項目も存在しています。適用除外要件は、タックスヘイブンにある企業の実態を判断するための指標と言えます。

事業活動しているとみなされれば、タックスヘイブンに子会社などがあったとしてもタックスヘイブン対策税制の対象外とされる場合もあります。

以下にタックスヘイブン対策税制の適用除外要件を紹介します。

基準 内容
事業基準 タックスヘイブンにある海外子会社の事業が、債券や株式の保有をはじめ、船舶や航空機の貸付といった事業としてみなされない内容ではないこと
実体基準 オフィスをはじめ、事業所や工場などの建物や設備、従業員を配置していること
管理支配基準 事業の管理運営や支配などを海外子会社で取り仕切っていること
所在地国基準 製造業や小売業を営んでいる場合、本店所在地で事業活動を行っていること
非関連者基準 海外子会社が卸売業を行っている場合、売上もしくは仕入れ率の50%超えが、資本関係のない企業との取引であること

事業基準と実体基準、管理支配基準については、業種にかかわらず全て満たさなければいけません。また、海外子会社が製造業や小売業の場合は、前述の3種類に加えて所在地国基準を満たすことで適用除外の要件をクリアできます。

海外子会社が卸売業の場合は、前述の3種類に加えて非関連者基準を満たすと適用除外の要件をクリアできる仕組みです。

なお、適用除外の要件を満たした場合は、法人税申告書別表17-3へ必要事項を記入および提出します。

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合同会社PPS吉岩勇紀代表
合同会社PPS
吉岩勇紀代表

2007年創業、これまで2,500人以上の海外銀行の口座開設をサポート。独自の人脈と豊富な知識で海外銀行とのコネクションを築く。現在はプライベートバンク(モナコ)・アクレダ銀行(カンボジア)・JDB銀行(ラオス)をはじめ、計8銀行の口座開設をサポートしている。

※2023年4月20日調査時点